ごろごろ

ゆるい雑記。

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CAMシステムの導入における最適な選定方法

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現代のマシニングセンタにおける業務に必須級のもの。

 

それはCAMですね。

 

経営者の中にはCAMはプログラムを出すだけ、プログラムなんてどれも一緒と認識している人がかなり多いですが、そんな言葉にウンザリの現場の方も多いことでしょう。

 

「分かる人から見れば全然違うんだけどな…」

 

これが現場の本音です。

 

生産現場の司令塔にもなる、主役と言っても過言ではないです。

 

そしてCAMをこれから検討する方や、今後のための知識として知っておく方、CAMを覚えてみたい方に是非読んでもらいたい記事になります。

 

この記事で分かること

・プログラムによる違い

・CAMはどんな人がやるべきか

・手打ちプログラムの生産性の悪さ

・CAMソフトの選定基準

私はこの業種で20年以上食ってきました。

 

良いことなのか悪いことなのか転職回数も年齢なりにあるので、様々なソフトを使ってきました。

 

その視点から解説していきたいと思います。

 

 

 

CAM排出プログラムによる違い

・プログラム次第で加工面品位が変わる

・プログラム次第で工具寿命が良くも悪くもなる

・プログラム次第で加工能率、加工時間が大きく変わる

・削り方がCAMによって全然違う

 

プログラムには質があります。

 

手打ちプログラムであれば曲線は円弧補間(G02,G03)を使ったり平面指定(G17,G18,G19)を使ったりで作成しますが、CAM排出の場合は点群排出になります。

 

(設定次第でG02,G03排出できるCAMもありますが大抵のメーカーはオススメしていないようです)

 

この点群排出がミソであり、点群の整列具合で製品面の質も変わります。

そして同じCAMを使ったとしても違う人がやれば違う点群になったりします。

 

下記引用はCAM-TOOLになります。

 

https://www.cgsys.co.jp/jp/cam-tool/img/function/kouzou.png

出典 : 

CAM-TOOL 製品概要

 

きれいな構成点が排出されると、点群だけで形状が見えます。

 

「どれも一緒」なんて言った段階で何も分かっていない素人ということが一瞬でバレますので禁句ですよ!

 

 

CAMに配属されるべき人

 

・CAMは機械加工に現場で1~2番目に精通している人がやるべき

・プログラムを出すだけというのは大間違い

・CAMは現場の司令塔

 

 

間違いとしてよくあるのは

プログラム出すだけだから素人で何も分からないような人を配属する。

 

これは私としてはとんでもない選択です。

 

数百万、モジュールを色々つけて下手をすると1000万オーバーになるCAMを何も分からないド素人に回すというのは会社としてその選択、良いのですか?

 

CAMのを扱う人が考えること

・CADデータ作成

・プログラム作成及びシミュレーション

・プロセスシート作成(指示書)

・適材適所のホルダ、工具の選択

・工具見直しによるデータベースの修正

・現場との打ち合わせ(使用機械、使用治具等)

 

※CAM導入時はデータベースの作成から

 

 

私が考えるに、CAMは生産現場のブレーンです。

 

上記の事を何も分からないような素人にどこまでできるでしょうか。

削り方やパスの良し悪しが理解できるのでしょうか。

複雑な図面が理解できるのでしょうか。

 

分かるわけがありません。

 

「じゃあ現場に聞けばいいじゃん」

 

という声も出るかと思います。

しかしそういうムダをなんとも思わない会社であれば程度が知れてしまいます。

 

現場には現場の仕事をさせてあげないといけません。

 

私はCAMは現場を一番分かっている人間がやるべきだと考えます。

 

これらを出来ていない会社と出来ている会社を見比べると一目瞭然で生産現場のレベルの違いが目に見えるのです。

 

 

さすがにCAMは使いましょう

今の時代、手打ちで非効率な生産をしている会社ってあるんですか!?

と疑ってしまいますが、実際あります。

 

これは社長の価値観の問題の気がしますが

 

「結果的に物が出来ればOK」

「納期に間に合えばOK」

 

その程度の認識しかないと疑わざるを得ません。

 

生産とは生産性を考えなければいけませんが、上記のような考えは生産性を考えているとは思えませんよね?

 

手打ちというと対話プログラムのマザトロールも手打ちになります。

 

しかしマザトロールのほうがCAMより早いものもあります。

設変など入った時にちょっと直すだけなのでCAMより優位な面もあります。

 

ただそれはマザトロールの場合です。

 

Gコードを機械に向かって打つのは今どき時間のムダでしかないです。

 

生産性も気にかけられないのは経営者の考えとして本当に良いのでしょうか。

 

 

CAMソフトの選定基準

・加工内容(HOLE,2D,3D,5AXIS)

・自動化できるか

・加工面精度を優先

・誰でも簡単操作を優先

・ヒューマンエラーが出にくいことを優先

・手戻り作業の少なさを優先

・コストを優先

・取引先データを考慮

 

 

絶対悩むでしょう。

だって◯百万円もするソフトですからね。

 

しかし色んな会社の人の話を聞くと

「何も分からない上司が勝手に決めて現場としては使いにくいだけのCAM」

「周りがMasterCAMばかりなのでウチも…」

「基準が分からないために営業の口車に乗せられた」

 

なんだろう。

選定者はすべて脳死状態の人しか居ないのでしょうか。

 

私が使用感を知っているCAMの中からですが、経験上で選定基準を書きます。

 

そのCAMは社内の仕事に合うかどうか

第一にこれを考えなくてはいけません。

 

3D加工がほとんどないのに格好つけてハイエンドCAMを買ったら分かる人から見たら「あーやっちまったな」くらいに思われます。

 

部品加工が多いなら

・PartsCAM

・Go2CAM

・EDGECAM

・FeatureCAM

 

などが相性が良いと思います。

 

なぜなら、2D部品形状をやるのに操作性が良く簡単になっています。

簡単=ヒューマンエラーを回避しやすい

ということ。

 

選択して計算、はいできました!

くらいの手順の少なさがほしいところですね。

 

ヒューマンエラーが出にくく、少ない手順で完結できるということは多品種少量生産の部品加工屋さんにとっては良いことです。

 

ただ稀に3D加工が必要というためにモジュール追加で対応することもできます。

 

3D形状5軸加工が多いなら

・hyperMILL

 

5軸加工はとにかく安定感と信頼性に定評があるhyperMILLが良いと思います。

5軸加工に必要なノウハウがない場合におすすめです。

 

5軸加工は干渉に神経をすり減らします。

そこを自動モードで決めてくれるのはオペレータの負担軽減として大きいです。

 

精度、加工面を追求するなら

・CAM-TOOL

 

主に型屋さん向きなソフトだと思います。

 

CAM-TOOLはポリゴン演算とサーフェス演算があります。

 

ポリゴン演算は通常の計算、粗取りなどに使われ計算時間が短いです。

 

サーフェス演算はCAM-TOOL独自で、曲面加工においてきれいな構成点が得られるため加工面がとてもキレイに仕上がることが特徴です。ただ計算時間は長めです。

 

3軸加工でここまできれいに仕上がるかと驚いた記憶があります。

 

ただ設定が少し面倒。

 

初めての導入でとりえず安く済ませたい

・Fusion360

 

業務用で使う場合はお金がかかりますが、71500円/年です。

さらにMachining Extension という追加機能もありますが、こちらは209000円/年です。

 

Machining Extension を追加すると穴加工のプログラム自動化などメリットが大きいと思いますが、私はこの機能は使ったことがありません。

 

しかしあれば絶対便利なことは分かります。

 

通常のパスでは負荷制御加工というパスを使ってみましたが、工具負荷を考えられた良いパスがこの値段で得られるというのはとても魅力です。

 

 

 

まとめ

CAMにもソフトそれぞれ特徴がありどれでも一緒なんてことないこと、お分かりいただけたでしょうか。

 

プログラムを出すだけという簡単な仕事でもないです。

司令塔であるべきです。

 

私が触ったことのないCAMで良いものもたくさんあると思います。

 

購入を検討しているのであれば気になるメーカーにデモを依頼しましょう。

その際、何も知らない上司だけで対応せず実際使うであろう人も必ず一緒にデモを見て納得の上で購入しましょう。

 

 

また、以下の記事ではマシニングセンタや「こちらの記事の視点と少し違うCAM導入」の考え方について解説していますので、こちらの記事も併せて読んでみてください。

 

【関連記事のリンク】

5軸マシニングセンタで生産性アップを考える - ごろごろ