切り屑出していますか?
日々安心してガッツリ切り屑を出せるのはクーラントがしっかり仕事をしてくれているからという面も忘れてはいけません。
皆さんはそんなクーラントの管理方法を間違えていませんか?
クーラントを軽視していませんか?
私は青二才だった過去、間違えていました。
やってはいけないことをやっていました。
間違えた管理方法はクーラントの効果を十分に発揮出来ません。
今一度、水溶性切削油の管理方法を確認してみませんか?
正しい管理をすることによってクーラントの効果が飛躍的に上がります。
- 長期停止中のクーラントの課題と処理
- 水溶性切削液の管理
- クーラントの腐敗要因
- ニオイやクーラントの色の確認
- クーラントタンクの掃除
- クーラントの希釈方法
- タンクにクーラントを張った後にやること
- おまけ(水溶性切削油の分類)
- まとめ
長期停止中のクーラントの課題と処理
まず、上記の状態をしっかりと確認し判断します。
クーラントを維持するか廃棄するかは以下の判断基準で決めます。
・クーラントの現在の状態が劣化してるか、pH値は適正値内か
・試用期間の長短
・停止期間
・タンク容量(コスト的な問題)
タンク容量に関しては、以前私が使っていた機械は800リットル入るタンクでしたが1度全交換するだけで零細企業には堪えるコストでしたので…
水溶性切削液の管理
・濃度管理
・pH値の管理
・ニオイ等の確認
クーラント補充の際、気をつけてもらいたい事として
水だけを補充しないこと
です。
水だけを補充すると濃度が薄くなりサビの原因になります。
1%~2%程度の濃度でクーラントを撹拌し補充してください。
濃度管理
濃度は8%を維持します。
切削加工では8%が最も加工にも適切でpH値も確保されやすくなります。
クーラントを長く使いたい場合、正しい濃度で使用することが重要です。
きれいなクーラントは上記のように境界ラインがはっきり分かります。
潤滑油混入が増えるとこの境界ラインがぼやけて数値が見えにくくなります。
pH値の管理
pH値が適正値であることをpH試験紙などで確認をします。
濃度も大事ですが、pH値をチェックしない会社が意外と多いのが現状です。
pH値はクーラントの状態を表しています。
許容値を外したクーラントは交換時期と考えて良いです。
おおよそ、pH8.5~9.5が適正値と考えて良いでしょう。
pH試験紙は広範囲のものではなく、ピンポイント(pH7~10くらい)で計測できるものがオススメです。
また、pH値は復活しませんのでご注意を。
pH値が高すぎると
・手が荒れる
・泡立ちする
・アルミの変色など
pH値が低すぎると
・悪臭が発生する
・鉄は錆びが発生しやすくなる
・バクテリアが発生する
上記の現象が出ますので適正値での管理が重要です。
クーラントに水流をつけ循環させる
日々の暖機運転時でも良いのでクーラントに水流をつけ、ポンプ循環をさせましょう。水流がないのが一番良くありません。
チップコンベア搭載機はチップコンベアも同時に動かし沈殿しているスラッジ除去などをしてください。
オイルスキマーの利用
浮上油はクーラント劣化の原因になるのでオイルスキマーを常に動かして除去しましょう。
持っていない場合は電ドルポンプや掃除機で吸い取るか小箱などですくい取ります。
オイルスキマーとは?浮上油回収装置の機能と仕組み|株式会社スギノマシン - スギノマシン
クーラントの腐敗要因
・濃度適正値外
・pH値適正値外
・バクテリアの発生
・潤滑油、錆止め剤の混入
・切り屑の混入
使っていると濃度とpH値以外どれも仕方がない要因です。
濃度やpH値は日々の努力である程度キープはできます。
微生物は空気中に存在しているため混入は避けられません。
機械の仕様次第ですが潤滑油が混入すると潤滑油に含まれる添加剤がクーラントに含まれる添加剤と混ざり添加量のバランスが崩れるため劣化します。
切り屑は金属元素が溶出し、切削油剤の成分を乱すことになります
ニオイやクーラントの色の確認
においは初期のニオイか不快だと感じないレベルが良いです。
悪臭になってくると雑巾のニオイや生ゴミのようなニオイが発生します。
この状態はクーラントの状態が悪くなっているというシグナルです。
しかし悪臭を放つ前に兆候は感じ取れます。
いきなり悪臭ではなく若干クサいくらいがその兆候です。
また、乳白色(エマルジョン)タイプで例えると乳白色がクリーム色っぽくなっているクーラントも要注意です。
夏の長期休業期間中は要注意です。
クーラントタンクの掃除
本来であればクリーナー等を添加しフラッシングするのが良いですが、おそらくそこまでやる企業も私の体感では少ないかと思います。
・クーラントを抜く前に高圧洗浄機などで機械壁面など可能な限り清掃
・タンクの水を抜き、一度高圧洗浄機でタンク内清掃をする
・再度タンク内に残った水を抜き取り、ウエスなどで拭き取り清掃
これらが現実的な範疇なのではないかなと感じます。
また、清掃時にはミストコレクターダクトから滞留しているクーラントが戻らないか注意が必要です。
クーラントの希釈方法
希釈する際は水道水を入れた容器に切削油剤の原液を攪拌しながら混ぜます。反対に、原液を入れた容器に水道水を入れると、原液と水道水が均等に溶けにくいので手順を間違えてはいけません。
モノタロウからの転載となりますが、水溶性クーラントの作り方は
ペール缶などに水を入れる
↓
原液を水に撹拌していく
これができていない会社があまりにも多いです。
某切削油メーカーの方もこの件については嘆いていました。
原液に水を足していくとクーラント本来の効果が発揮されません。
あるあるですが機械の中に原液を落としてそのままホースで注水していくスタイル。
これ最悪です。
またそこまで手間がかけられないお金持ちな会社は、一気に作業性が上がる撹拌機を使うと良いです。
入手経路として一番のおすすめは
切削液メーカーからも販売しているメーカーもありますので担当営業に一度相談してみると良いかと思います。
タンクにクーラントを張った後にやること
クーラントをタンクに張った後は配管に残留クーラントが残っていますので、最初はきれいなクーラントが出るまでペール缶にクーラントノズルからクーラントを吐き出させます。
きれいなクーラントが吐き出されるようになったらしばらくクーラントを出しっぱなしにして循環させます。
おまけ(水溶性切削油の分類)
まとめ
間違えた管理方法をしていませんでしたか?
濃度管理ばかりに気を取られpH管理までしていない方は居ませんか?
クーラントの作り方の手順間違えていませんでしたか?
水溶性切削油はけっこうめんどくさいもので、日々の管理がクーラントの能力を決めて寿命を決めます。
正しい希釈方法や管理方法で日々の加工をより良いものにしましょう。
また、以下の記事では5軸マシニングセンタでの生産性アップなどを解説していますので、こちらの記事も併せて読んでみてください。
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