宅配の仕事をしていると、いろんなお客さんに出会う。
ほとんどの人は普通だし、むしろ感じの良い人の方が多い。
でも、ごくたまに。
「これはちょっと勘弁してくれ…」
という人に出会うこともある。
これは、12月の超繁忙期。
しかも大雪の日の話だ。
午前指定なのに荷物が来ていない
その日はとにかく荷物の到着が遅れていた。
雪の影響で、営業所に届くはずの荷物がなかなか到着しない。
当然、配達もどんどん遅れていく。
そんな中、1人のお客さんからクレームが入った。
「午前指定なのに来ない!」
という内容だった。
ただ、こちらとしてはどうにもならない。
なぜなら
そもそもその荷物が営業所に届いていない。
配達員は、営業所に来た荷物しか運べない。
未来から荷物を持ってくることはできないのだ。
隣の家には来ていたじゃないか!
それでもお客さんは納得しない。
「隣の家には配達に来ていたじゃないか!なんでウチをスルーした!」
確かにそれは事実だ。
ただ、その隣の家の荷物は
すでに営業所に届いていた荷物。
クレームを入れてきた人の荷物は
まだ営業所にすら届いていない。
配達の世界ではよくある話なのだが
一般の人にはなかなか伝わらない。
玄関先で20分の説教
ようやくその荷物が午後便で営業所に到着。
急いで配達に向かった。
しかし玄関を開けて出てきたのは
明らかに怒りモードの女性。
髪は長く、目がキマっているというか…。
とにかく、かなり怖い。
そして始まる説教。
「午前指定だったんだぞ!」
「なんで来なかった!」
大雪の中、玄関先で延々とクレーム。
気づけば20分近く経っていた。
そして荷物は雪で濡れる
その間も雪は降り続いている。
当然、荷物はどんどん濡れていく。
すると女性が言った。
「そんな濡れた荷物は受け取れない」
……いや、あなたが20分止めてたんですが。
と言いたいところだが、もちろん言えない。
ちなみに後から聞いた話では、
この人は営業所でも有名なクレーマー
だったらしい。
別の配達員も捕まって説教を受けていたそうだ。
配達員にも限界はある
こちらも正直、余裕はなかった。
12月の超繁忙期。
しかも大雪。
荷物は山ほどある。
この時点で時計を見ると15時。
軽バンの荷台の荷物の数はその時点で
残り160個。
これはもう最終時間までに間に合わないレベルでパンク寸前だ。
さすがにこちらも言ってしまった。
「じゃあ、いいです」
半分キレ気味だったと思う。
でも、配達員だって人間だ。
どんな仕事でもそうだと思うが、
限界というものはある。
その後どうなったか
結局、その件は支店長が謝りに行ったらしい。
荷物を受け取ったのかどうかは知らない。
正直、そこはどうでもよかった。
こちらはまだ配達が山ほど残っている。
15時で残り160個。
考えている暇はない。
エンジンをかけて次の荷物を持つ。
そしてまた、次の家へ向かう。
配達員から見たクレーマーの現実
宅配の仕事をしているとこういう人に出会うことは正直ある。
ただ、ほとんどのお客さんは普通だし
むしろ「いつもありがとうございます」と声をかけてくれる人の方が多い。
だからこそ、たまに出会う強烈なクレーマーは印象に残る。
とはいえ、配達員も人間だ。
12月の繁忙期。
雪の日。
荷物は山積み。
そんな状況で20分の説教を受ければ、
さすがに余裕はなくなる。
それでも配達員は、次の荷物を持ってまた走る。
軽バンにはまだ160個の荷物が残っているのだから。
宅配ドライバーの一日は、
今日もこんな感じで続いていく。