ごろごろ

ゆるい雑記。

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【懐古】90年代後半の深夜チャットという居場所【メールビーチ】

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高校を卒業してすぐの1997年4月、当時としては決して安くないパソコンを学生時代にアルバイトして貯めたお金で購入した。


今みたいにスマホがあって、いつでもどこでもネットに繋がる時代じゃない。「自分のPCを持つ」ということ自体がちょっとしたステータスだった。

 

当時のPCというものは、PC所有者の壁が存在した。


当時はPC本体で当たり前に30万円以上。つまり「ある程度経済力がある大人」か「PC、ネットをやってみたいという情熱のある人」しかいなかった。

 

起動ボタンを押したときの音、モデムが接続するまでのあの独特な音。
正直それだけでワクワクした。


理由なんてなくて、触っているだけで楽しかった。

 

そんな中で辿り着いたのがメル友募集掲示板とチャットルームが中心のコミュニティサイト「メールビーチ」だった。

 

ビーチチャット、サイレントチャットなどチャットルームがあり、見ず知らずの人とハンドルネームだけで文字だけの会話をする世界。私はサイレントチャットに居座っていた。


当時はそれがとにかく不思議な世界観で面白かった。

 

ただ、一つだけ大きな問題があった。
電話代が恐ろしい勢いで増えていくことだ。

 

当時のネット接続はダイヤルアップで、電話代がどんどん加算されていく。

 

特にチャットは危険だった。


「ちょっと話すだけ」のつもりが、気づけば1時間2時間。
その結果、請求される電話代を見て青ざめる(親が)。


これを何度も繰り返した。

そして何度も怒られた。

 

さすがに耐えきれず導入したのがテレホーダイだった。


23時から朝8時まで定額。
テレホーダイを契約してからネットは「深夜にやるもの」になった。

 

23時前になると自然と待機し、家族が寝静まったのを確認してから接続する。
チャットルームには毎晩のように同じハンドルネームが並ぶ。


いつの間にかメールビーチのチャットが生活の中心になっていた。

 

がんばって買ったPC。
深夜まで光り続けるモニター。
鳴り止まないキーボードの音。

 

当然、家族にはバレる。


崩れていく生活リズム、そして「こいつは一体何をしているんだ?」という不安。
結果、本気で怒られた。かなり本気で。

 

それでも正直、その時は「やめよう」とは思わなかった。
それくらいチャットの世界が自分の居所みたいな感覚になるほど楽しかった。

 

今でもあの頃のネット体験が忘れられない理由は実はとても単純だ。


お金がかかり、時間が限られ、繋ぐのにも覚悟が必要だった。
だからこそ、人との距離が近く感情が濃かった。

 

今のSNSのようにただの暇つぶしじゃない。
あの頃のネットは確実に人生の一部だった。

 

メールビーチもテレホーダイも従量課金に怯えていた日々も、もう戻らない。
でも、あの時代を通った人間にしか書けない話がある。

 

この体験は当時パソコンを持っていた人には刺さる人もいることだろう。

若い世代には「そんな時代があったのか」と思ってもらえるはずだ。

 

そしてそのメールビーチはスタービーチへと変貌。

名前が変わりチャットルームは潰され、その段階でメールビーチの住人は離脱する。

 

1999年〜2000年頃、iモードの普及と共にPCを持たない層が携帯電話から一気に流入。ここで運営側は「スタービーチ(スタビ)」へと変わる。

 

この頃からネットの治安、民度というのが本当にクソみたいに低下したものになったと思う。

 

「メル友・チャット友」から「リアルな出会い」へ変わり、匿名で趣味を語る場所から物理的に会うためのツールへと変質することになる。

 

そして社会問題化に。

 

ニュースでも取り上げられることもあり、事件や援交の温床となり「スタビ=ヤバいサイト」というレッテルが貼られる。

 

「純粋な交流の場」だったメールビーチが、資本主義と欲望の波に飲み込まれて壊されてしまった。

 

おわりに

今ではGOOGLEの検索結果にも出てこないメールビーチの名を微力ながら残したいと思ってこんな記事を書きました。